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Channel: 犯罪心理学概論
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1 犯罪理解のために

 犯罪については,連日,事件としてテレビや新聞などで報道されている。人々の興味,関心をひく話題であるし,注目も集める。それは犯罪という現象の一つの側面には違いないが,そうした報道や記事を追いかけているだけでは,犯罪に対する理解は偏ったものになるし,誤った考え方をすることにもつながる。...

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2 Preliminary

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3 犯罪とは?を巡る諸問題(その1)

 犯罪とはなんだろうか? 改まって問われると,どう答えればよいのか困ってしまう。 まず,最初に確認しておくこととして,「犯罪」はリンゴや自動車のように具体的な実体を持たない,というのがある。目に見えないし,手に持ったりして,「これが犯罪だよ」と指し示すことできないのだ(だから,そのままでは数えたり、大小比較をしたりなどして、数量を評価することができない)。...

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4 刑法における犯罪

 犯罪とは,刑法においては,構成要件に該当する違法有責 な行為であるとされる。 ある行為が犯罪とされるためには,この3つの要件が充たされる必要がある。以下に3つの要件をどのように確認していくのか簡単に見ておこう。  構成要件とは刑罰法規によって示される犯罪類型のことで,どういったことが犯罪にあたるのか,ということについて共通認識として取り決められた枠組みのことである。...

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5 犯罪とは?を巡る諸問題(その2)

 前節では,刑法学上の犯罪の定義について見たが,もちろん,これが犯罪の絶対的な定義というわけではない。先にも書いたように,定義の仕方にはいろいろある。つまり,犯罪の定義には別バージョンがある。 例えば,デュルケムは社会分業論で,犯罪を「ある行動はそれが集合意識の強力な確定的な諸状態を冒涜するとき犯罪的である」(デュルケム E. 井伊玄太郎(訳) 1989 社会分業論 講談社,Dulkeim,E....

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6 レイブリング・パースペクティブ

 ベッカー(H.Becker),レマート(E.Lemert)らが提唱したラベリング理論においては,犯罪は,犯罪者としてレッテルを貼られる(ラベル付けされる)者とレッテルを貼る者(ラベル付けする者)の相互作用の中で生み出されるとされる。...

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7 落ち穂拾い~犯罪研究の対象

 犯罪心理学,犯罪社会学,犯罪学などといった分野で,犯罪を研究する際には,単に刑法上の定義を持ってくるわけにはいかない。犯罪=刑法で定義された犯罪,という取り扱いをしてしまうと,犯罪として扱える題材が限定されてしまう。...

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8 操作的定義と概念的定義(その1)

 犯罪は,実体のない構成概念であり,定義することで初めて取り扱いが可能となる。その定義の代表的なものに刑法上の定義がある。しかし,刑法上の定義では,犯罪の研究には不十分である。 それでは,一体,犯罪の研究では,どのように犯罪を定義すればよいのか,という疑問が出てくるだろう。...

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9 操作的定義と概念的定義(その2)

 それでは,犯罪の概念的定義と操作的定義について見ていこう。先ほどは使い物にならない,と書いたが,犯罪の概念的定義は,「悪いこと」という意味合いを含んだものになるであろう。...

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10 操作的定義と概念的定義(その3)

 先ほどの操作的定義について、2つほど、留意しておく点を指摘しておく。 さっきの定義では、人が殺されたり、人を殺していた場合でも、うまく測定されない、網に引っかかってこない場合があることに気がつきますか。探偵物ではないが、自殺と見せかけて実は他殺で、警察では自殺として処理されている場合とか、行方不明者なんだけど、実は人に殺されていて、警察がそれを把握していないとか。...

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11 警察統計(その1)

 前節までは、犯罪とは何か、といったような幾分、抽象的な話をしてきたが、実際に、犯罪について調べよう、我が国の犯罪の実情はどうなのか、といったことを考えるときに、欠かせないのが犯罪統計である。 犯罪統計は、警察や裁判所、矯正施設(刑務所とか少年院とか)を管轄する法務省など犯罪にかかわりのある機関が犯罪についてのデータをまとめたものである(厳密には異論があるかもしれない)。...

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12 警察統計(その2)~認知と認知件数

 認知と認知件数は以下のように定義されている。 認知とは、犯罪について、被害の届出若しくは告訴・告発を受理し、犯罪捜査規範第69条第1項若しくは第78条第1項による事件の移送を受け、又はその他の端緒によりその発生を確認することをいう(犯罪統計細則第2条)。 認知件数とは、警察において発生を認知した事件の数をいう。...

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13 警察統計(その3)~検挙と検挙件数

定義は以下のようになる。 検挙とは、犯罪について被疑者を特定し、送致・送付又は微罪処分に必要な操作を遂げることをいう。 検挙件数とは、刑法犯において警察で事件を送致・送付又は微罪処分をした件数をいい、特に断るのない限り、解決事件の件数を含む。 解決事件という言葉が出てきたので、以下。...

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14 警察統計(その3)~統計数値

 能書きばかりが先行したので数値を見てみよう。 法務省が出している犯罪白書から数値を参照すると、 平成18年の刑法犯の認知件数は、287万7027件 平成19年の刑法犯の認知件数は、269万0883件 このうち、交通関係業過を除く刑法犯の認知件数は    平成18年 205万1229件     平成19年 190万9279件 であった。...

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15 各種犯罪の数値

 警察庁の統計をホームページでhttp://www.npa.go.jp/toukei/index.htm#sousaで見ればすぐにわかることではあるが、一応、各種の数値を見てみよう。 平成19年の一般刑法犯、  つまり、交通関係業過を除いた刑法犯認知件数は190万8836件 平成20年の一般刑法犯は、181万8023件で、内訳を見ていくと、平成19年 窃盗 142万9956件平成20年 窃盗...

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16 犯罪は増加したのか?(その1)

 交通関係業過を除く刑法犯の認知件数は、平成 8年には、181万2119件であった。それが、平成14年には、285万3739件に増えた。 その間の6年間に100万件以上、犯罪が増加したことになる。 先にも示したように、平成19年の一般刑法犯は190万8836件、平成20年の一般刑法犯は181万8023件であるから、10年前の水準に戻りつつある。 この変化は、一体、なんなのだろうか。...

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17 犯罪は増加したのか?(その2)

 前節では、捜査機関の姿勢が変わり、世論もそれを後押し、あるいは、積極的に捜査機関に影響を与えることで、認知件数が増えていく、という話をした。 それは、丁度、一番最初に話をした、飲酒運転の話と同じことがおこっていると考えるとよい。飲酒運転をする人が急激に増えたと言うよりは、世論に後押しされた摘発の努力の結果、どんどん事件として数値が増えていくのである。...

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18 犯罪の多発化を考える

 本当は犯罪は増えていないのではないか、治安の悪化というが、本当はそんなことはないのではないか、ということの可能性について、前節まで論じてきた。 ただ、みなさんは、お気づきかと思うが、本当のところというのは、解らないのである。...

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19 治安の悪化について考える

 治安の悪化と関連して語られることの多いのが、検挙率の低下である。これは、平成 8年には40.6パーセントであったものが、     平成14年には20.8パーセントになった。     平成17年では28.6パーセントである。 検挙率は約半分に低下してしまった時があり、治安の悪化、警察力の低下、安全神話の崩壊などと随分さわがれた。...

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20 少年犯罪の凶悪化について考える。

少年犯罪の検挙人員で、強盗事件の検挙人員が 平成8年には1068人であったものが、 平成9年には1675人に増えたことがあった。 対前年で1.6倍である。(平成18年は912人)。 この統計数値も少年犯罪の凶悪化の根拠としてしばしば使われたものであるが、本当に少年が凶悪化して強盗が増えたのかというと、疑問に思うところがあるのだ。...

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